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美容クリニック総研
クリニックに適した坪数・面積とは?診療科別の広さ目安を解説

最終更新日:2025/11/13
著者:
ユニオンテック編集部
導入文 中国人、とりわけ中国人富裕層の中で、日本への医療ツーリズムに高い将来性があると言われています。
では、中国人富裕層が、わざわざ日本に医療観光に来る理由とは何でしょう?
その理由は、中国と日本の医療システムを比較してみることで明らかになります。そこにはいくつかの重要な違いが存在します。
中国では、病院の数が慢性的に不足しており、特に地方では医療レベルに大きな差が存在しています。この差は都市部と地方の医療サービスの質において顕著で、高い医療を求める人々が都市の病院へと集まることで、大混雑を引き起こしています。
さらに、中国の医療体制では歩合制が導入されている場合があり、医療費が非常に高額になる傾向があります。
クリニックの開業を検討する際、成功への第一歩となるのが「適切な物件選び」です。
その中でも、貴院が提供したい医療サービスや、想定する患者数に合わせたクリニック 坪数や面積の選定は、極めて重要な要素となります。
「どれくらいの広さがあれば良いのだろう?」「診療科目によって違いはあるの?」といった疑問は尽きないことでしょう。
不適切な坪数や面積のクリニックを選んでしまうと、患者様の利便性が損なわれたり、医療機器の設置に支障が出たり、あるいは将来的な事業拡大の妨げになったりする可能性があります。
また、広すぎれば無駄な賃料が発生し、狭すぎれば必要な機能が備えられません。
この記事では、クリニックの広さ選びに焦点を当て、診療科目別の坪数・面積目安から、適切な広さを考えるための具体的なロジック、さらには限られた面積を最大限に活用するコツまで、徹底的に解説します。
他メディアが触れていない「診療所の設備基準」にも言及し、クリニックの理想を実現するための最適な坪数・面積を見つけるためのヒントを提供いたします。
目次
診療科目別の坪数・面積目安
クリニックの坪数や面積は、診療科目によって大きく異なります。これは、医療機器の種類、必要な診察室や処置室の数、待合室の規模、さらには医療法で定められた診療所の設備基準が異なるためです。
診療科目 | 坪数目安(最小~標準) | 面積目安(最小~標準) | 診療所の設備基準・特記事項 |
一般内科・小児科 | 20~40坪 | 66~132㎡ | 待合室、受付、診察室、処置室、トイレ、スタッフエリアが基本。小児科はキッズスペースや感染症対策の動線も考慮。 |
皮膚科・美容皮膚科 | 25~50坪 | 83~165㎡ | プライバシー保護のための個室(カウンセリング室、施術室)の設置が多いため、必要面積が広がる傾向。高額な美容機器の設置スペースも考慮。 |
整形外科・リハビリ科 | 40~80坪 | 132~264㎡ | リハビリ室やレントゲン室など、広めのスペースが必要。運動療法機器や検査機器の配置に加え、車椅子や松葉杖利用者への移動広さを確保。 |
眼科 | 25~45坪 | 83~148㎡ | 視力検査の距離確保(最低5m)、視野検査などの特殊機器設置スペース。検査機器の種類や台数で大きく変動。 |
耳鼻咽喉科 | 25~45坪 | 83~148㎡ | 聴力検査室(防音室)の設置が必要な場合があり、その分面積が増加。処置室も比較的広めに取る傾向。 |
歯科 | 25~60坪 | 83~198㎡ | 歯科ユニットの台数、レントゲン室(防 護)、滅菌消毒室、技工室などの設置により変動。ユニット1台あたり約4~5坪が必要な場合も。医療機器への給排水・電源供給ルートも考慮。 |
※上記の坪数・面積は一般的な目安であり、個別の設計や導入機器、レイアウトによって大きく変動します。
美容クリニックの坪数・面積
美容クリニックは、一般的な保険診療のクリニックとは異なる坪数・面積の考え方が求められます。
患者様が求める「美」の追求に応えるため、医療機能性だけでなく、ホスピタリティやリラックスできる空間演出が非常に重要になるからです。
プライバシーの確保が必須: 美容医療はデリケートな相談内容も多く、患者様のプライバシー保護が極めて重要です。そのため、カウンセリングルーム、診察室、施術室、待合室は、個室や半個室が多くなり、その分、全体の坪数・面積も大きくなる傾向があります。他の患者様との視線や会話が交錯しないよう、緻密なレイアウト設計が求められます。
高級感と 快適性の追求: まるでホテルのラウンジのような高級感や、エステサロンのようなリラックスできる雰囲気を演出するため、ゆったりとした待合スペースや、パウダールーム、ドレッサールームなどを設けるケースが多いです。これらはサービスの質を向上させ、患者満足度を高める上で不可欠な要素であり、必要な面積に影響します。
最新美容機器の導入スペース: レーザー機器、HIFU機器、冷却痩身機器など、美容医療は日々進化しており、新しい機器を導入する際は、それらの機器本体の設置スペースに加え、施術に必要な動作スペース、消耗品の保管スペースなども考慮しなければなりません。機器によっては特殊な電源や排熱設備が必要な場合もあり、これらも面積計画に影響します。
美容クリニックの坪数・面積は、単に「広い」だけでなく、「いかに効率的かつ贅沢に空間を使うか」が問われます。
クリニックの坪数・面積の考え方
適切なクリニック 坪数・面積を決定するためには、具体的な数字だけでなく、クリニック運営の様々な側面から検討する必要があります。
想定患者数と回転率から考える適正面積
1日の患者数や時間あたりの診察人数(回転率)は、待合室や診察室の広さを決定する上で最も基本的な要素です。
待合スペースの計算方法:
目安: 待合室の面積は、「1日の想定患者数 × 平均滞在時間 × 混雑率」から算出される必要人数を収容できる広さが必要です。一般的には、1人あたり約1.5㎡~2㎡程度が目安とされます。
例:1日の患者数50人、平均滞在時間30分、ピーク時の同時滞在人数が10人と想定した場合、10人 × 2㎡/人 = 20㎡(約6坪)程度の待合室が必要になります。キッズスペースやドリンクサービスコーナーなどを設ける場合は、さらに広い面積が必要です。
診察室の数と広さ: 1日の診察数を効率的にこなすためには、適切な数の診察室が必要です。医師1人あたりの診察室の数や、診察内容(内診、採血など)に応じて、必要な広さが変わります。
医療機器・設備による必要面積
診療科目特有の医療機器や設備は、その設置面積だけでなく、患者様の移動スペース、医師やスタッフの操作スペース、保守点検スペースなど、周囲の広さまで考慮する必要があります。
レントゲン室: X線防護のための壁の厚みや、機器の動作範囲、患者様のポジショニングスペースが必要です。
CT・MRI室: 大型機器のため、専用の設置室が必要。機器自体の面積に加え、電源設備、冷却設備、制御室などの付 帯設備も考慮する必要があります。
歯科ユニット: ユニット間のスペース、器材の配置、スタッフの動線確保など、ユニット数に応じて必要な坪数・面積が増加します。
滅菌消毒室: 医療器具の洗浄・滅菌を行う場所であり、感染対策の観点から衛生的なレイアウトと十分な作業スペースが必要です。
スタッフ数と作業効率を考慮した広さ
患者様エリアだけでなく、スタッフが効率的かつ快適に働ける広さを確保することも、クリニック運営の効率化とスタッフの定着に繋がります。
バックヤード(事務・休憩スペース): カルテや書類の保管スペース、スタッフの休憩室、更衣室、ロッカー、給湯室など。患者様エリアからは見えない場所ですが、業務効率とスタッフの士気に直結します。
動線確保: 受付から事務室、診察室、処置室、スタッフ用トイレなど、スタッフの移動がスムーズに行える動線と通路幅を確保します。
快適な休憩環境: 十分な広さと設備(テーブル、椅子、冷蔵庫、電子レンジなど)を備えた休憩室は、スタッフの疲労軽減とリフレッシュに貢献します。
限られた面積を最大活用するコツ
理想の坪数・面積の物件が見つからない場合や、限られた広さで最大限の機能を詰め込みたい場合でも、デザインと工夫次第で空間を有効活用することは可能です。
効率的なゾーニング計画
空間を用途別に明確に区切りながらも、圧迫感を与えないゾーニング計画が重要です。
患者動線とスタッフ動線の最適化: 待合室、診察室、検査室、処置室、トイレ、会計といった患者様の動線と 、受付・事務室、診察室、スタッフルーム、滅菌室といったスタッフの動線を考慮し、交差を避けた効率的なレイアウトを設計します。
共有スペースの多目的利用: 待合室の一部をキッズスペースとしても利用できるようにする、カウンセリングルームを兼ねた個室待合を設けるなど、一つの空間を多目的に利用することで面積を有効活用します。
視覚的な広がり: 壁の代わりにガラスパーテーションや低い間仕切りを用いる、統一感のある色彩計画、鏡の活用などで、実際の面積以上に空間が広く感じられる工夫を凝らします。
可変性のある空間設計
将来的なクリニックの成長や、医療技術の変化、患者ニーズの多様化に対応できるよう、可変性を持たせた空間設計も有効です。
間仕切りの工夫: 将来的に増設する可能性のある診察室や処置室は、容易に間仕切りを設けられるように配線などを考慮して設計します。
多目的スペースの確保: 将来的に新しい医療機器を導入する際のために、汎用性の高いスペースを確保しておくことで、大規模なリフォームを避けられます。
可動式の家具・設備: 必要に応じてレイアウトを変更できる可動式の家具や、組み換え可能な設備を導入することで、空間の柔軟性を高めます。
ユニオンテックの設計事例
株式会社ユニオンテックは、多様な坪数・面積のクリニックにおいて、最適な空間設計を実現してまいりました。限られた広さでも最大の機能と快適性を追求し、お客様の理想を形にするお手伝いをしています。
54.73坪(180.94㎡)の例

設計背景
従来のクリニックイメージとは一線を画し、高級ホテルのような洗練された空間を創出することがテーマでした。
美容クリニックの特性上、患者様が安心して施術を受けられるよう、プライバシー保護と快適な待合環境に重点を置いています。
デザイン
無機質な白を避け、淡いピンクやベージュを基調とした温かみのある色彩を使用。
曲線的なデザインの受付カウンターやソファ、アーチ型の窓などを多用し、柔らかな印象を与えています。
照明は間接照明を効果的に配置し、リラックスできる雰囲気を演出。
機能性
受付カウンターは、患者様がスムーズに手続きできるよう、広々としたスペースを確保しています。
待合室は、複数のソファを配置することで、他の患者様との距離感を保てるように配慮されています。
動線
待合室から施術室へと続く動線は、患者様が迷わないようにシンプルに設計。
施術室は個室になっており、患者様のプライバシーが守られるように工夫されています。


69坪(230㎡)の例

設計背景
最先端の医療技術を象徴するような、シャープで洗練された空間をイメージ。
「美の再構築」という専門性の高い医療サービスを提供するため、患者様が安心して施術に臨める、プライベートで落ち着いた環境を重視しています。
デザイン
洗練された都会的な印象を与えるため、白とグレーを基調としたミニマルな配色を採用。無駄のないクリーンな空間で、医療の確実性と信頼性を表現しています。
直線的なラインを多用したシャープなデザインと、質感の高い素材(大理石やメタリックなアクセント)を組み合わせることで、高級感と未来的な雰囲気を両立させています。
機能性
プライバシーを重視した個室のカウンセリングルームと、機能的な施術室を複数完備。患者様が他の患者様と顔を合わせることなく、一連のプロセスをスムーズに完了できる体制を整えています。
術後の回復をサポートするためのリカバリールームも設けられており、医療サービスの一 環として快適な空間を提供しています。
動線
入口から受付、カウンセリングルーム、そして施術室へと続く一連の患者動線は、プライバシーが徹底されるよう設計されています。
スタッフは、患者様の動線とは別のバックヤードをスムーズに移動できるような裏動線が確保されており、医療機器や物品の搬入も効率的に行えるレイアウトになっています。


貴院の理想の坪数・面積、そして最適な内装設計について、ユニオンテックにご相談ください。
坪数・面積別の内装費用相場
クリニックの坪数・面積は、内装費用相場に大きく影響します。一般的に、面積が大きくなるほど総額は上がりますが、坪単価自体は、ある程度の広さを超えると相対的に落ち着く傾向があります。
坪数・面積 | 内装費用相場(概算) | 備考 |
~20坪(~66㎡) | 1,000万円~2,000万円 | 小規模な診療所、専門クリニック(例:美容皮膚科、メンタルクリニックなど) |
20~40坪(66~132㎡) | 1,500万円~3,500万円 | 一 般的な内科、小児科、眼科、耳鼻咽喉科など、最も多い広さ帯。 |
40~60坪(132~198㎡) | 3,000万円~5,000万円 | 歯科(複数ユニット)、整形外科、複合的な診療科、またはゆとりのあるレイアウトを求める場合。 |
60坪~(198㎡~) | 4,000万円~8,000万円以上(診療内容による) | 大規模なクリニック、複数の専門外来併設、リハビリテーション施設が広い場合など。高度医療機器の導入でさらに高額になる。 |
※上記の費用相場は、あくまで目安です。物件の状態(スケルトンか居抜きか)、内装のグレード、導入する医療機器の種類によって大きく変動します。
クリニックの面積・坪数での注意点
クリニックの面積・坪数は、一度決定すると容易に変更できないため、慎重な計画が求められます。特に以下の点に注意し、長期的な視点での開業計画を立てることが重要です。
将来の患者数増加・診療内容の拡大を見据えた計画
開業当初は最適と思える広さでも、事業が成長し患者数が増 加したり、新しい医療機器の導入や診療科目を追加したりする場合、現在の坪数では手狭になる可能性があります。将来的な増床やリフォームの可能性も考慮し、ある程度の「余力」を持たせた面積選定が理想です。初期投資を抑えつつも、将来の柔軟性を確保できるようなレイアウトを検討しましょう。
設備追加スペースの確保
診断機器や治療機器は日々進化しています。購入を検討している機器のスペックだけでなく、将来的に導入したい機器のために、あらかじめ電源や配管の位置、設置スペースの確保を計画に組み込むことで、後々の内装工事を最小限に抑えられます。
法的要件の遵守
医療法で定められた診療所の設備基準(診察室の広さ、待合室の面積など)はもちろんのこと、建築基準法、消防法、バリアフリー法など、多岐にわたる法規制を遵守する必要があります。これらの要件を満たさない坪数・面積の物件を選んでしまうと、開業が遅延したり、最悪の場合、許可が下りないといった重大な問題に発展する可能性があります。
賃料と維持費のバランス:
広ければ広いほど良いというわけではありません。賃料や光熱費、清掃費といったランニングコストは面積に比例して増加します。貴院の経営計画と収益性を考慮し、最適な坪数・面積を見極めることが重要です。
これら多岐にわたる考慮事項を、クリニック経営のプロフェッショナルである先生方が全て把握し、最適な物件を選定することは容易ではありません。
特にクリニックの坪数・面積は、内装の質や費用、さらには将来の事業展開にまで影響を及ぼす基盤となるため、専門家のサポートが不可欠です。
株式会社ユニオンテックは、クリニック専門の設計・施工会社として、クリニックの坪数・面積選定から、法規制の確認、最適な内装設計まで、ワンストップでサポートいたします。
貴院のビジョンに合致し、持続的な成長を可能にするクリニックの広さを見つけるために、ぜひ私たちにご相談ください。
貴院のクリニックに適した坪数・面積について、ユニオンテックが最適なご提案をいたします。
クリニックナレッジvol.43
ユニオンテック編集部
クリニックの開業を検討する際、成功への第一歩となるのが「適切な物件選び」です。
その中でも、貴院が提供したい医療サービスや、想定する患者数に合わせたクリニック 坪数や面積の選定は、極めて重要な要素となります。
「どれくらいの広さがあれば良いのだろう?」「診療科目によって違いはあるの?」といった疑問は尽きないことでしょう。
不適切な坪数や面積のクリニックを選んでしまうと、患者様の利便性が損なわれたり、医療機器の設置に支障が出たり、あるいは将来的な事業拡大の妨げになったりする可能性があります。
また、広すぎれば無駄な賃料が発生し、狭すぎれば必要な機能が備えられません。
この記事では、クリニックの広さ選びに焦点を当て、診療科目別の坪数・面積目安から、適切な広さを考えるための具体的なロジック、さらには限られた面積を最大限に活用するコツまで、徹底的に解説します。
他メディアが触れていない「診療所の設備基準」にも言及し、クリニックの理想を実現するための最適な坪数・面積を見つけるためのヒントを提供いたします。
目次
診療科目別の坪数・面積目安
クリニックの坪数や面積は、診療科目によって大きく異なります。これは、医療機器の種類、必要な診察室や処置室の数、待合室の規模、さらには医療法で定められた診療所の設備基準が異なるためです。
診療科目 | 坪数目安(最小~標準) | 面積目安(最小~標準) | 診療所の設備基準・特記事項 |
一般内科・小児科 | 20~40坪 | 66~132㎡ | 待合室、受付、診察室、処置室、トイレ、スタッフエリアが基本。小児科はキッズスペースや感染症対策の動線も考慮。 |
皮膚科・美容皮膚科 | 25~50坪 | 83~165㎡ | プライバシー保護のための個室(カウンセリング室、施術室)の設置が多いため、必要面積が広がる傾向。高額な美容機器の設置スペースも考慮。 |
整形外科・リハビリ科 | 40~80坪 | 132~264㎡ | リハビリ室やレントゲン室など、広めのスペースが必要。運動療法機器や検査機器の配置に加え、車椅子や松葉杖利用者への移動広さを確保。 |
眼科 | 25~45坪 | 83~148㎡ | 視力検査の距離確保(最低5m)、視野検査などの特殊機器設置スペース。検査機器の種類や台数で大きく変動。 |
耳鼻咽喉科 | 25~45坪 | 83~148㎡ | 聴力検査室(防音室)の設置が必要な場合があり、その分面積が増加。処置室も比較的広めに取る傾向。 |
歯科 | 25~60坪 | 83~198㎡ | 歯科ユニットの台数、レントゲン室(防護)、滅菌消毒室、技工室などの設置により変動。ユニット1台あたり約4~5坪が必要な場合も。医療機器への給排水・電源供給ルートも考慮。 |
※上記の坪数・面積は一般的な目安であり、個別の設計や導入機器、レイアウトによって大きく変動します。
美容クリニックの坪数・面積
美容クリニックは、一般的な保険診療のクリニックとは異なる坪数・面積の考え方が求められます。
患者様が求める「美」の追求に応えるため、医療機能性だけでなく、ホスピタリティやリラックスできる空間演出が非常に重要になるからです。
プライバシーの確保が必須: 美容医療はデリケートな相談内容も多く、患者様のプライバシー保護が極めて重要です。そのため、カウンセリングルーム、診察室、施術室、待合室は、個室や半個室が多くなり、その分、全体の坪数・面積も大きくなる傾向があります。他の患者様との視線や会話が交錯 しないよう、緻密なレイアウト設計が求められます。
高級感と快適性の追求: まるでホテルのラウンジのような高級感や、エステサロンのようなリラックスできる雰囲気を演出するため、ゆったりとした待合スペースや、パウダールーム、ドレッサールームなどを設けるケースが多いです。これらはサービスの質を向上させ、患者満足度を高める上で不可欠な要素であり、必要な面積に影響します。
最新美容機器の導入スペース: レーザー機器、HIFU機器、冷却痩身機器など、美容医療は日々進化しており、新しい機器を導入する際は、それらの機器本体の設置スペースに加え、施術に必要な動作スペース、消耗品の保管スペースなども考慮しなければなりません。機器によっては特殊な電源や排熱設備が必要な場合もあり、これらも面積計画に影響します。
美容クリニックの坪数・面積は、単に「広い」だけでなく、「いかに効率的かつ贅沢に空間を使うか」が問われます。
クリニックの坪数・面積の考え方
適切なクリニック 坪数・面積を決定するためには、具体的な数字だけでなく、クリニック運営の様々な側面から検討する必要があります。
想定患者数と回転率から考える適正面積
1日の患者数や時間あたりの診察人数(回転率)は、待合室や診察室の広さを決定する上で最も基本的な要素です。
待合スペースの計算方法:
目安: 待合室の面積は、「1 日の想定患者数 × 平均滞在時間 × 混雑率」から算出される必要人数を収容できる広さが必要です。一般的には、1人あたり約1.5㎡~2㎡程度が目安とされます。
例:1日の患者数50人、平均滞在時間30分、ピーク時の同時滞在人数が10人と想定した場合、10人 × 2㎡/人 = 20㎡(約6坪)程度の待合室が必要になります。キッズスペースやドリンクサービスコーナーなどを設ける場合は、さらに広い面積が必要です。
診察室の数と広さ: 1日の診察数を効率的にこなすためには、適切な数の診察室が必要です。医師1人あたりの診察室の数や、診察内容(内診、採血など)に応じて、必要な広さが変わります。
医療機器・設備による必要面積
診療科目特有の医療機器や設備は、その設置面積だけでなく、患者様の移動スペース、医師やスタッフの操作スペース、保守点検スペースなど、周囲の広さまで考慮する必要があります。
レントゲン室: X線防護のための壁の厚みや、機器の動作範囲、患者様のポジショニングスペースが必要です。
CT・MRI室: 大型機器のため、専用の設置室が必要。機器自体の面積に加え、電源設備、冷却設備、制御室などの付帯設備も考慮する必要があります。
歯科ユニット: ユニット間のスペース、器材の配置、スタッフの動線確保など、ユニット数に応じて必要な坪数・面積が増加します。
滅菌消毒室: 医療器具の洗浄・滅菌を行う場所であり、感染対策の観点から衛生的なレイアウトと十分な作業スペースが必要です。
スタッフ数と作業効率を考慮した広さ
患者様エリアだけでなく、スタッフが効率的かつ快適に働ける広さを確保することも、クリニック運営の効率化とスタッフの定着に繋がります。
バックヤード(事務・休憩スペース): カルテや書類の保管スペース、スタッフの休憩室、更衣室、ロッカー、給湯室など。患者様エリアからは見えない場所ですが、業務効率とスタッフの士気に直結します。
動線確保: 受付から事務室、診察室、処置室、スタッフ用トイレなど、スタッフの移動がスムーズに行える動線と通路幅を確保します。
快適な休憩環境: 十分な広さと設備(テーブル、椅子、冷蔵庫、電子レンジなど)を備えた休憩室は、スタッフの疲労軽減とリフレッシュに貢献します。
限られた面積を最大活用するコツ
理想の坪数・面積の物件が見つからない場合や、限られた広さで最大限の機能を詰め込みたい場合でも、デザインと工夫次第で空間を有効活用することは可能です。
効率的なゾーニング計画
空間を用途別に明確に区切りながらも、圧迫感を与えないゾーニング計画が重要です。
患者動線とスタッフ動線の最適化: 待合室、診察室、検査室、処置室、トイレ、会計といった患者様の動線と、受付・事務室、診察室、スタッフルーム、滅菌室といったスタッフの動線を考慮し、交差を避けた効率的なレイアウトを設計します。
共有スペースの多目的利用: 待合室の一部をキッズスペースとしても利用できるようにする、カウンセリングルームを兼ねた個室待合を設けるなど、一つの空間を多目的に利用することで面積を有効活用します。
視覚的な広がり: 壁の代わりにガラスパーテーションや低い間仕切りを用いる、統一感のある色彩計画、鏡の活用などで、実際の面積以上に空間が広く感じられる工夫を凝らします。
可変性のある空間設計
将来的なクリニックの成長や、医療技術の変化、患者ニーズの多様化に対応できるよう、可変性を持たせた空間設計も有効です。
間仕切りの工夫: 将来的に増設する可能性のある診察室や処置室は、容易に間仕切りを設けられるように配線などを考慮して設計します。
多目的スペースの確保: 将来的に新しい医療機器を導入する際のために、汎用性の高いスペースを確保しておくことで、大規模なリフォームを避けられます。
可動式の家具・設備: 必要に応じてレイアウトを変更できる可動式の家具や、組み換え可能な設備を導入することで、空間の柔軟性を高めます。
ユニオンテックの設計事例
株式会社ユニオンテックは、多様な坪数・面積のクリニックにおいて、最適な空間設計を実現してまいりました。限られた広さでも最大の機能と快適性を追求し、お客様の理想を形にするお手伝いをしています。
54.73坪(180.94㎡)の例

設計背景
従来のクリニックイメージとは一線を画し、高級ホテルのような洗練された空間を創出することがテーマでした。
美容クリニックの特性上、患者様が安心して施術を受けられるよう、プライバシー保護と快適な待合環境に重点を置いています。
デザイン
無機質な白を避け、淡いピンクやベージュを基調とした温かみのある色彩を使用。
曲線的なデザインの受付カウンターやソファ、アーチ型の窓などを多用し、柔らかな印象を与えています。
照明は間接照明を効果的に配置し、リラックスできる雰囲気を演出。
機能性
受付カウンターは、患者様がスムーズに手続きできるよう、広々としたスペースを確保しています。
待合室は、複数のソファを配置することで、他の患者様との距離感を保てるように配慮されています。
動線
待合室から施術室へと続く動線は、患者様が迷わないようにシンプルに設計。
施術室は個室になっており、患者様のプライバシーが守られるように工夫されています。


69坪(230㎡)の例

設計背景
最先端の医療技術を象徴するような、シャープで洗練された空間をイメージ。
「美の再構築」という専門性の高い医療サービスを提供するため、患者様が安心して施術に臨める、プライベートで落ち着いた環境を重視しています。
デザイン
洗練された都会的な印象を与えるため、白とグレーを基調としたミニマルな配色を採用。無駄のないクリーンな空間で、医療の確実性と信頼性を表現しています。
直線的なラインを多用したシャープなデザインと、質感の高い素材(大理石やメタリックなアクセント)を組み合わせることで、高級感と未来的な雰囲気を両立させています。
機能性
プライバシーを重視した個室のカウンセリングルームと、機能的な施術室を複数完備。患者様が他の患者様と顔を合わせることなく、一連のプロセスをスムーズに完了できる体制を整えています 。
術後の回復をサポートするためのリカバリールームも設けられており、医療サービスの一環として快適な空間を提供しています。
動線
入口から受付、カウンセリングルーム、そして施術室へと続く一連の患者動線は、プライバシーが徹底されるよう設計されています。
スタッフは、患者様の動線とは別のバックヤードをスムーズに移動できるような裏動線が確保されており、医療機器や物品の搬入も効率的に行えるレイアウトになっています。


貴院の理想の坪数・面積、そして最適な内装設計について、ユニオンテックにご相談ください。
坪数・面積別の内装費用相場
クリニックの坪数・面積は、内装費用相場に大きく影響します。一般的に、面積が大きくなるほど総額は上がりますが、坪単価自体は、ある程度の広さを超えると相対的に落ち着く傾向があります。
坪数・面積 | 内装費用相場(概算) | 備考 |
~20坪(~66㎡) | 1,000万円~2,000万円 | 小規模な診療所、専門クリニック(例:美容皮膚科、メンタルクリニックなど) |
20~40坪(66~132㎡) | 1,500万円~3,500万円 | 一般的な内科、小児科、眼科、耳鼻咽喉科など、最も多い広さ帯。 |
40~60坪(132~198㎡) | 3,000万円~5,000万円 | 歯科(複数ユニット)、整形外科、複合的な診療科、またはゆとりのあるレイアウトを求める場合。 |
60坪~(198㎡~) | 4,000万円~8,000万円以上(診療内容による) | 大規模なクリニック、複数の専門外来併設、リハビリテーション施設が広い場合など。高度医療機器の導入でさらに高額になる。 |
※上記の費用相場は、あくまで目安です。物件の状態(スケルトンか居抜きか)、内装のグレード、導入する医療機器の種類によって大きく変動します。
クリニックの面積・坪数での注意点
クリニックの面積・坪数は、一度決定すると容易に変更できないため、慎重な計画が求められます。特に以下の点に注意し、長期的な視点での開業計画を立てることが重要です。
将来の患者数増加・診療内容の拡大を見据えた計画
開業当初は最適と思える広さでも、事業が成長し患者数が増加したり、新しい医療機器の導入や診療科目を追加したりする場合、現在の坪数では手狭になる可能性があります。将来的な増床やリフォームの可能性も考慮し、ある程度の「余力」を持たせた面積選定が理想です。初期投資を抑えつつも、将来の柔軟性を確保できるようなレイアウトを検討しましょう。
設備追加スペースの確保
診断機器や治療機器は日々進化しています。購入を検討している機器のスペックだけでなく、将来的に導入したい機器のために、あらかじめ電源や配管の位置、設置スペースの確保を計画に組み込むことで、後々の内装工事を最小限に抑えられます。
法的要件の遵守
医療法で定められた診療所の設備基準(診察室の広さ、待合室の面積など)はもちろんのこと、建築基準法、消防法、バリアフリー法など、多岐にわたる法規制を遵守する必要があります。これらの要件を満たさない坪数・面積の物件を選んでしまうと、開業が遅延したり、最悪の場合、許可が下りないといった重大な問題に発展する可能性があります。
賃料と維持費のバランス:
広ければ広いほど良いというわけではありません。賃料や光熱費、清掃費といったランニングコストは面積に比例して増加します。貴院の経営計画と収益性を考慮し、最適な坪数・面積を見極めることが重要です。
これら多岐にわたる考慮事項を、クリニック経営のプロフェッショナルである先生方が全て把握し、最適な物件を選定することは容易ではありません。
特にクリニックの坪数・面積は、内装の質や費用、さらには将来の事業展開にまで影響を及ぼす基盤となるため、専門家のサポートが不可欠です。
株式会社ユニオンテックは、クリニック専門の設 計・施工会社として、クリニックの坪数・面積選定から、法規制の確認、最適な内装設計まで、ワンストップでサポートいたします。
貴院のビジョンに合致し、持続的な成長を可能にするクリニックの広さを見つけるために、ぜひ私たちにご相談ください。
貴院のクリニックに適した坪数・面積について、ユニオンテックが最適なご提案をいたします。

著者プロフィール
ユニオンテック編集部
内装デザイン・設計・施工に関する経験を元に、クリニックの空間づくりや経営ノウハウを発信しております。
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