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美容クリニック総研

【五感が整う空間デザイン・シリーズ③】
光が整える空間 ― 視覚から感じる安心とリズム

最終更新日:2025/11/13

著者:

所長 石田 毅

導入文 中国人、とりわけ中国人富裕層の中で、日本への医療ツーリズムに高い将来性があると言われています。
では、中国人富裕層が、わざわざ日本に医療観光に来る理由とは何でしょう?
その理由は、中国と日本の医療システムを比較してみることで明らかになります。そこにはいくつかの重要な違いが存在します。
中国では、病院の数が慢性的に不足しており、特に地方では医療レベルに大きな差が存在しています。この差は都市部と地方の医療サービスの質において顕著で、高い医療を求める人々が都市の病院へと集まることで、大混雑を引き起こしています。
さらに、中国の医療体制では歩合制が導入されている場合があり、医療費が非常に高額になる傾向があります。

空間の印象を決める最大の要素のひとつが「光」です。明るさや色味の違いが、人の心理状態や自律神経の働きに大きく影響することが分かっています。美容クリニックのように、来訪者が少なからず緊張を抱く空間では、光の設計そのものが「安心感」を生む鍵になります。


Ⅰ|自然光がもたらす心身のリズム

太陽光を浴びると、脳内で「セロトニン」が分泌されます。セロトニンは“幸福ホルモン”とも呼ばれ、ストレスや不安を感じる際に活動する扁桃体の興奮を鎮める働きを持ちます。これにより、気分の安定や心の落ち着きが生まれるのです。

また、日光の刺激によって体内時計が整うと、夜には「メラトニン」が自然に分泌され、 副交感神経が優位に切り替わります。 朝の光が“活動のスイッチ”を入れ、夕方の柔らかな光が“休息への準備”を促す── このリズムが、人の心身の安定を支えています。


Ⅱ|照明の設計がもたらす心理的効果

人工照明においても、光の色温度や照度によって自律神経の働きは変化します。

青白い光(高色温度)は集中力を高めますが、緊張を生みやすく、暖色系の光(低色温度)は穏やかな気分を促します。リラックス効果を高めるためには、低照度・低色温度の光が効果的です

また、天井や壁をやわらかく照らす間接照明は、眩しさを軽減し、安心感をもたらします。光が直接目に入らない環境では、人は無意識のうちに“守られている”感覚を覚えるといわれています。


Ⅲ|光のバランスがつくる「落ち着き」

光の感じ方は、数値上の明るさだけでなく、バランスによっても変わります。空間全体が均一に明るすぎると落ち着きがなくなり、逆に暗すぎると閉鎖感を感じます。光と影のバランスが取れた空間は、視覚的にも心理的にも安定感を与えます。

特に医療空間では、天井・壁・床の明るさを均一に保ちつつ、視線が集まる部分には柔らかな光を配置するなど、“過度に明るくない明るさ”の設計が重要です。


Ⅳ|まとめ|光が導く「整う感覚」

自然光と人工光、それぞれが人の心身を整える役割を持っています。朝の光で活動が始まり、夕方の光で副交感神経が優位になる。そのリズムを空間設計で補うことで、人は“安心して過ごせる”感覚を取り戻します。光をどう使うかは、機能ではなく体験の設計です。


◼︎CLINIC総研所長 石田のコメント

美容クリニックを問わず、デンタルクリニック、内視鏡クリニックなど、「クリニック」と名が付く場所は、往々にして喜び勇んで行く場所ではない。美容クリニックは時代の変遷とともに訪れる際のハードルは下がってきているものの、まだまだ「緊張」がつきまとう場所であることは間違いない。

そのような空間では「緊張している患者さんをそれ以上緊張させない」ことが重要になる。リラックスとまではいかなくても、交感神経優位=緊張にならないような体験設計が重要だ。今回は「五感が整う空間デザイン・シリーズ」の第3弾として「光」を取り上げた。

「自然光」を有効活用するのは物件の特徴に左右されるが、そんな中で弊社がご依頼いただき、設計・施工を担当したクリニックを一例として紹介したいと思う。


<プリズムビューティクリニック>

  • 所在地・概要:東京都町田市に所在する美容外科クリニック。清潔感と透明感を基調にした医療空間。

  • コンセプト: “なりたい自分を見つける場所” をテーマに、プリズム(光の屈折と輝き)をモチーフとした空間設計。

  • 設計ポイント:白を基調とする内装に、自然光をふんだんに取り入れる大きな窓、光を反射・拡散する素材やオブジェ、シャンデリアなどを組み合わせて“多様な光の揺らぎ”を演出。

  • 機能性との両立:診察室やカウンセリングルームは光を確保しながらもプライバシーを重視。トイレや処置室、パウダールームには清潔感ある素材選定で、落ち着きと安心感を両立。


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この事例は、先に述べた「光・素材・構成」の要素が実際にどう生きるかを、現実のプロジェクトとして裏付けてくれている。

クリニックナレッジvol.49

所長 石田 毅

空間の印象を決める最大の要素のひとつが「光」です。明るさや色味の違いが、人の心理状態や自律神経の働きに大きく影響することが分かっています。美容クリニックのように、来訪者が少なからず緊張を抱く空間では、光の設計そのものが「安心感」を生む鍵になります。


Ⅰ|自然光がもたらす心身のリズム

太陽光を浴びると、脳内で「セロトニン」が分泌されます。セロトニンは“幸福ホルモン”とも呼ばれ、ストレスや不安を感じる際に活動する扁桃体の興奮を鎮める働きを持ちます。これにより、気分の安定や心の落ち着きが生まれるのです。

また、日光の刺激によって体内時計が整うと、夜には「メラトニン」が自然に分泌され、 副交感神経が優位に切り替わります。 朝の光が“活動のスイッチ”を入れ、夕方の柔らかな光が“休息への準備”を促す── このリズムが、人の心身の安定を支えています。


Ⅱ|照明の設計がもたらす心理的効果

人工照明においても、光の色温度や照度によって自律神経の働きは変化します。

青白い光(高色温度)は集中力を高めますが、緊張を生みやすく、暖色系の光(低色温度)は穏やかな気分を促します。リラックス効果を高めるためには、低照度・低色温度の光が効果的です

また、天井や壁をやわらかく照らす間接照明は、眩しさを軽減し、安心感をもたらします。光が直接目に入らない環境では、人は無意識のうちに“守られている”感覚を覚えるといわれています。


Ⅲ|光のバランスがつくる「落ち着き」

光の感じ方は、数値上の明るさだけでなく、バランスによっても変わります。空間全体が均一に明るすぎると落ち着きがなくなり、逆に暗すぎると閉鎖感を感じます。光と影のバランスが取れた空間は、視覚的にも心理的にも安定感を与えます。

特に医療空間では、天井・壁・床の明るさを均一に保ちつつ、視線が集まる部分には柔らかな光を配置するなど、“過度に明るくない明るさ”の設計が重要です。


Ⅳ|まとめ|光が導く「整う感覚」

自然光と人工光、それぞれが人の心身を整える役割を持っています。朝の光で活動が始まり、夕方の光で副交感神経が優位になる。そのリズムを空間設計で補うことで、人は“安心して過ごせる”感覚を取り戻します。光をどう使うかは、機能ではなく体験の設計です。


◼︎CLINIC総研所長 石田のコメント

美容クリニックを問わず、デンタルクリニック、内視鏡クリニックなど、「クリニック」と名が付く場所は、往々にして喜び勇んで行く場所ではない。美容クリニックは時代の変遷とともに訪れる際のハードルは下がってきているものの、まだまだ「緊張」がつきまとう場所であることは間違いない。

そのような空間では「緊張している患者さんをそれ以上緊張させない」ことが重要になる。リラックスとまではいかなくても、交感神経優位=緊張にならないような体験設計が重要だ。今回は「五感が整う空間デザイン・シリーズ」の第3弾として「光」を取り上げた。

「自然光」を有効活用するのは物件の特徴に左右されるが、そんな中で弊社がご依頼いただき、設計・施工を担当したクリニックを一例として紹介したいと思う。


<プリズムビューティクリニック>

  • 所在地・概要:東京都町田市に所在する美容外科クリニック。清潔感と透明感を基調にした医療空間。

  • コンセプト: “なりたい自分を見つける場所” をテーマに、プリズム(光の屈折と輝き)をモチーフとした空間設計。

  • 設計ポイント:白を基調とする内装に、自然光をふんだんに取り入れる大きな窓、光を反射・拡散する素材やオブジェ、シャンデリアなどを組み合わせて“多様な光の揺らぎ”を演出。

  • 機能性との両立:診察室やカウンセリングルームは光を確保しながらもプライバシーを重視。トイレや処置室、パウダールームには清潔感ある素材選定で、落ち着きと安心感を両立。


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この事例は、先に述べた「光・素材・構成」の要素が実際にどう生きるかを、現実のプロジェクトとして裏付けてくれている。

著者プロフィール

所長 石田 毅
ウェルネス領域におけるCX(顧客体験)設計とブランド戦略の専門家。スカイスパYOKOHAMAでのコワーキング開発を経て、美容・医療分野の体験価値向上に取り組んでいる。

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